他人(ひと)から心配されたい人 ②

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◎前の記事「他人(ひと)から心配されたい人 ①」の続きです。

 

心配することを愛情であると勘違いしていることが原因

このことは親子関係、夫婦関係、恋人関係など
愛情を基盤にした人間関係でよく起こります。

なぜなら昔から相手を心配することを愛情である
と間違えている人が余りに多く、
その様に相手に接することが未だに良いことだ、と思われているからです。

残念ながらこの勘違いが愛すべき人間関係を壊しているのです。

 

そして心配されたい人、心配する人
この両者は相反する立場のように見えますが、
よくよく見ると中身は同じ立場なのです。

このことを簡単に説明すると次の様になります。

 

自分を責めていることには変わらない

心配されたい人は、
自分の欠点を見て自分を信じることができない人、
自分自身を責めているタイプの人です。

そこから心の中に不安が生じているのです。

 

一方、心配する人は、
表面上は相手の中に不安の原因を見ている人です。

しかし、その相手の中の不安の原因は、
前回までの記事で書いた通り自分の中に残っている
未解決な自分を苦しめる固定観念です。

その固定観念を無意識に相手に投影しているだけで、
結局は自分を責めていることには変わらないのです。

 

つまり両者とも自分を責めて心を不安にしている、
ということには違いがないのです。

 

心配する人、される人は逆転する

このことから分ることは、
心配する人は、状況によっては心配されたい人になる
ということであり、
逆も同じで、心配されたい人は心配する人になるということです。

 

例をあげれば、
我が子のことを常に心配することが愛情である、
と思ってきた親が年をとって老いた場合にこの逆転が起こり易いです。

 

この様な親世代は、自分を真に信頼することが出来ていません。

年老いて体力が衰える自分の姿に逃げようのない不安を覚えます。

それ故に、自分の心の中の不安を解消するために
今度は大人になった子供から心配されることを無意識に望みます。

しかし、それとは裏腹に自分の弱さを見せたくない、
認めたくない、という我欲が残っていますので、
理に適わない我がままを言ったり、頑固になったりして
子供の家族に必要以上に世話を掛けさせる行為をすることを起こします。

 

一方、大人になった子供家族も
そんな年老いた親の姿や態度を心配して自分たちの暮らしに
不安を抱えてしまうのです。

その不安が大きくならないように何とかしようと思い、
自分たちの基準で選んだ内容の世話を親にします。

これは世話をする子供からすれば、親への愛情表現ですが、
でも、これは心の準備(あるがままの自分を受け入れるという人生の宿題)が
出来ていない親にとっては、自分自身に未だ自信を持てていないので、
「子供から自分を弱い者(人によっては「厄介者」)として扱われた」
または
「強い自分のはずだが迷惑を掛けてしまった、情けない。恥ずかしい。」
という悪い印象を与えるだけになるのです。

折角のことが裏目に出てしまい、お互いの中に険悪なムードを作ってしまうのです。

 

これも、心配することが愛情である、
という間違った認識が根本原因であると私は思います。

子供側(世話する側)の不安は、
その人たちの心に焦りを生み、
その焦りの気持ちで物事を見て判断しますから好い判断がし難いです。
当然、雰囲気にも焦りがあるので関わる全ての人(親も子供も)が
負のサイクルに入っていますから、良い結果になり難いのです。

 

 

相手の本当の強さを思い出す手助けをすること

ちょっと話が逸れてしまいましたのでここで元に戻します。

前のテーマでも書いていますが、
もし本当に相手のことを本当に想うのなら、
「あるがままでいいんだよ。それで大丈夫なんだよ。なんも悪くないよ」
という事を伝えて、あるがままの相手を愛することです。

相手が忘れてしまっている
その人の本当の強さを思い出す手助けをすることで
相手を安心させることなのです。

それが本当の優しさであり、思いやりであり、愛情です。

 

決して心配は愛情ではありません。

心配は、「する方」も、「される方」も
お互いを弱くして傷つけ不幸にするものなのです。

もし、相手に不安でなく安心を与えることができたなら、
お互いに信頼関係が築けているはずです。

その信頼関係という基盤ができたのなら、
特に相手のためと意識しなくても、
何気ない行為に相手からの愛情を感じられると思います。

それがお互いを癒すことになり幸せに生きることに繋がるのです。

 

◎次の「年老いた親への心配」に続きます

 

(※これは2014年11月12日のブログ記事の転載です)

 

<お願い>
私のブログは「治療中の会話の中で重要な部分だけでも後から思い出せる様にして欲しい」という患者様からのご要望が元で書き始めたものです。
従ってこれは会話の一部分の要約であり、お悩みの内容や会話中の質疑応答などは殆ど省略されています。
そのため、このテーマについて全く私と会話をしたことが無い人が読んだ場合、意味が通じず誤解を与えることもあると思います。
何卒、その点をご了承の上お読み頂けると幸いです。

 

 

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