痛みを訴えるが言語障害と認知症で意思の疎通が出来ないとき

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痛みの原因は不明、意思の疎通が出来ないとき

これは、2008年1月の話です。

患者さんは70歳台後半の女性。

原因不明の痛み。突然、在宅リハビリ中に痛みを訴えたそうだ。
身体介助で動かそうとすると、下半身の方に痛み?を訴える仕草をする。

既往症で重度関節リウマチ、脳梗塞後遺症、認知症、骨粗がある。
普段はほとんど寝たきりの状態、お身体が不自由なためご自分で具体的にどの部分が痛いか示すことができない。
そして、怪しいところを病院で検査をしても、骨などに特に異常なし。

そう、今回は原因不明(見つけられないだけで、必ず原因はあるはずです)であり、言語障害と認知症があるため意志の疎通がほとんど出来ない状態から治療をすることになりました。

(尚、一年前、圧迫骨折で、この患者さんを治療しています。)

 

経絡治療の利点

私のやっている経絡治療は大変便利なんです。

脈さえ診ることが出来れば、原因、病名が判らなくても治療は始められます。

それは、前腕や下腿のツボに鍼灸することで経絡に流れる気の乱れを調え、患者さんの自然治癒力を充分に発揮出来るように手助けする治療法だからです。

つまり、患部を直接扱わなくても治療が出来るからです。

今回の様な状況の中でご依頼を受けることが出来たのは、こう言った理由からです。

 

治療経過

治療を開始してから5日目(治療4回目)の往診。

ご家族によると、痛みの訴えが減ってきているそうです。
食欲も出てきたそうです。(痛みの為、口からの食事をほとんど出来なかったそうです。)
排便もある。(苦痛の為、止まっていたそうです。)

 

9日目(治療6回目)の往診、

夜間のうめき、痛みをあらわすこと殆ど無し。
オムツ交換にも苦痛を表さない。便通も正常に戻りました。
普段の生活にほぼ戻ったので、今回で終了としました。

最後までこの方の痛みの部位やその原因は不のままでしたが、苦痛を取り除くことができ、QOLも元に戻り、ご家族にも大変喜ばれました。

 

もう一つの経絡治療の利点

この様に原因、病名が判らなくても脈さえ判れば治療が始めれるのです。
大大先生(私の師匠の先生の先生のこと)も生前、そのことを強く仰ってました。

また、4回目の治療時、脈の状態も初診時よりも随分良くなってきていました。
「峠を越え、きっと良くなるだろう。」と思えたので、その旨をご家族に伝え、原因不明ということでご家族も随分心配してみえましたが、これにより安心されました。

もう一つの利点、それは、「脈診は予後も推測できる」ということです。

 

 

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