【臨床例】胃腸カゼ(身体からの声を素直に聞き休養が大切)

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治療

Kさん 50代  男性

【主症状】朝から頭痛、起きてからの眠気がいつもより強い。GW明けで疲れているのかな?

【脈診】[肝経虚、腎経虚、肺経実、大腸経実、膀胱経少し実]

【主な使用経穴】曲泉、復溜、手三里、孔最、束骨、陰谷への鍼の補写のみ、お灸は無し。

◎脈は調ったが、頭痛はまだある。いつもなら改善するが今回はあまり変わらないので「無理をしない様に」と伝え、このまま様子をみてもらうことにした。

 

【Kさんから経過報告】

朝(午前中)の治療後、休まず仕事をした。昼食後から胃もたれと膨満感がでてきた。
なんだか寒気もしてきた。しかし熱は平熱であった。
その後、仕事中、徐々に吐気がしてきて夕方にトイレで嘔吐した。
便は朝から3回いった。次第に軟らかくなり、夕方、最後は水様便になった。
胃腸カゼ?と思い、仕事を早めに切り上げ病院で診てもらったら胃腸カゼと診断された。

 

医師からは「吐気止めを食前に服用すること。もし食事が出来なければ薬だけでも服用すること。3日間服用したら多分良くなるだろう。念のため5日分処方する。」と言われた。

薬は、整腸剤、解熱鎮痛剤、吐気止め、胃薬を処方された。

 

帰宅後、水分補給でポカリを温めて飲んだが胃は気持ち悪く一口だけしか受けつけなかった。
頭痛は相変わらずひどく、且つ、眠気は非常に強い。(直ぐに横になりたかった)

猿渡先生がいつも仰ってる「身体の声に素直になってください。」を思い出して、その晩は食事も薬も摂らず、とにかく眠ることにした。

夜8時、布団に入ったら直ぐに爆睡した。 
その約2時間後、目が覚めたら不思議と朝からあった頭痛が消えていた。
吐き気、胃のムカムカも全く無くなっていた。驚いた。 まだ眠いのでそのまま翌朝までぐっすり眠った。

翌朝、昨日の朝からの頭痛が嘘のようにスッキリしていた。
吐気も腹痛も全くなく身体も軽い。食欲もある。

念のため、その日の朝食と昼食は軽くパンだけにしたが、夕食は普通に食られた。
いずれも美味しく食べることが出来た。 その後も元気である。 

もちろん薬は1回も飲んでいない。

 

GWの疲れが溜まっていて胃腸カゼに感染してしまったのだと思います。
しかし鍼治療後、休養をとらず我慢して仕事をし続けたので、身体が休ませようと症状を強く出したと思います。
もし治療後少しでも眠っていたら、こんな風にひどくならなかったかも?と思いました。

医師からは「今、胃腸カゼが流行っている。3~5日間は掛かるだろう」と言われましたが、幸いにも薬も飲まず実質たった2時間で改善してよかったです。
お陰で翌日の午前だけ休んで午後から仕事も普通にできました。

今回「病気は身体からのメッセージ」ということを改めて実感しました。

以上の様にご報告してくれました。

 

別件:Mさんの場合

一ヶ月に1回の定期治療に来るMさん(50代・女性)も、Kさんのように4月末に胃腸カゼになったことを教えてくれました。

 

Mさんは、早く治そうと病院を受診し薬を処方してもらい服用しましたが、その思いとは逆に、なかなか治らずGW期間中自宅で寝ていたそうです。

その後も胃腸は不調で薬を長期に飲み続けたそうです。
それでも中々治らないので、胃カメラをしたら胃炎と小さな潰瘍が見つかり、その後、ピロリ菌除去の抗生剤を1週間処方されたらしいです。

多分、MさんもKさんと同じような薬を処方されたと思います。
Mさんは休養せずに薬だけで早く治そうとしたことが悪化をさせた要因であり、胃炎や小さな潰瘍は、長期の解熱剤の服用からの副作用ではないか?と私は推察します。

Kさんの話を聞いたMさんは「私も素直にメッセージを聞いていれば早く治ったかもしれなかった。死んだ爺ちゃんが『病院に行くから治らんのじゃ』と言っていたことを思い出しました。(笑)今度あれば早くここに来ます。」と後悔してみえました。

そして定期治療後は「久しぶりに身体がスッキリしました」と喜ばれました。

 

考察

近年、風邪や胃腸カゼなどに感染し、その後、体調がすぐれないと仰る方が多いですが、その原因は二つあると思います。

一つは、症状を抑えることを目的に薬が処方されること
もう一つは、患者側も休養を取らずに薬だけで治してしまおうとすることです。
(早めに市販薬を服用し治そうとして、結果、長引いてしまう人も同じです。)

 

今回のKさんの場合、頭痛を止めるために解熱鎮痛剤を服用して熱が出ようとするのを止めたら、身体の中のウイルスや細菌が熱で駆除されずに残ってしまったかもしれません。

薬を服用するために吐気止めを服用することも同じです。
身体がエネルギーを免疫系に優先して使いたい為に食欲を無くしているのに、無理に食べれば、消化器系にエネルギーが奪われて免疫系が効率よく働けません。

食欲が無いときは無理して食べなくていいのです。
(もちろん、食欲があるときは消化の良いものを食べてもいいです。)

そして激しい眠気があれば身体は眠ることで治癒を促していますので素直に休むべきです。

 

つまり、頭痛と強い眠気は身体を休ませ免疫系が効率よく働くためのもの、
吐気、嘔吐、下痢は身体から異物を排出するための働きであり、いずれも決して悪いものではなく、身体が治癒するための正常な現象(瞑眩反応・好転反応)です。
経絡治療を受けたことでそれらが発揮されたと思います。

ということで今回、素直に身体からの声を聞いたKさんの判断は正しいと私は思います。

 

私は、これからも身体を治すのは薬や鍼灸ではなく自分の中の力(自然治癒力)です。病気は身体からのメッセージです。不調の時は焦らず素直に心身を休めましょう。

そして、「経絡治療に限らず鍼治療は魔法ではありません 折角、治療を受けても無理をすれば効果は得られませんのでちゃんと休養してください。」ということを伝えていきたいと思いました。

 

最後に、Kさん、Mさん、ありがとうございました。m(_ _ )m

 

<注意>
これはあくまでも個人的な一臨床例です。
同じ病名・症状でも必ずしも同様に改善することを保障するものではありません。
気の調いや自然治癒力の発揮には患者様の心の状態が大きく関わりますので、
その点をご理解した上でお読みください。

 

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